3月11日 青空に、白い鳥がたくさん飛んでいるペイントがされた原発の建物は、一瞬で壊れ灰色に変わった。
今まで見ていたそれは、白と青のイメージだけだった。
清々しさを与えるため、汚れたものを隠すよう何重にも重ねられた白いペンキ。
取り返しのつかない事を隠すように、そして人間の潔白を証明する為に。
灰色の汚れた建物だったら気づいただろうと、現実離れした映像をながめ考えていた。
このときに、人が扱う白は善や純潔でもなく真相を見ないようにする為の白だと、
そして建物は、たいしたものでもなく、ただのものだったと分かった。
定常であった日常が一瞬で変わったのだから。
ぶれない眼差しをもって、隠蔽された真相を探していかなければならない。
俯瞰し続けては見えない、ほんのわずかな間にも大切なものが介在していると感じる。
そこへアプローチすることによって大きな捉えようのない何かを感じる手がかりになると期待している。