長年地元に愛されながらも2016年末に営業を終了した海岸沿いに建つ漢那ドライブインレストランでのアートプロジェクト。このプロジェクトは2020年3月に終了し現在は建物も取り壊されている。
地元に長年住んでいた方からレストランの思いで話や、宜野座村史の本を見せてもらった。沖縄県北部の東海岸では唯一のなんでも食べれるレストランだったそうだ。
人の食欲を満たすため、食材を調理し、提供し続けた厨房、人が忙しなく動き回りひっきりなしに注文の声が入り、お客さんの雑多な会話が聞こえる情景を想像する。 さらに時を遡り、レストランのオープン当時を想像すると、きれいな器具、きれいな床、不安と期待が入り混じった従業員の顔、そして汚れていないタイルがピカピカと光っている。 現存のタイルに合わせ、真新しいタイルのレリーフを絵画のように展示することで過去と現在を行き来できるような作品にした。
建造物は規格材料で建てらていることが多い。40年前に作られたこの建物の厨房のタイルは107mmサイズ。現行販売されているタイルは110mmだったので、ここのタイルに合わせ3mmずつ削った。規格は時代によって変わる。
雨風によって経年劣化した建物の外壁を塗り替える。古いものを、汚れたものを新築のように重ねたペンキ。
ここ厨房の床に落ちたコンクリートの破片やタイル、瓦礫を掃き集める。
できるだけ、できるだけきれいにこの建物のカケラを集める。
何重にも白く重ねることで見た目は真新しいように思うが、表面だけみてはなにも始まらない。
その下には色々な思いや時間があることを。
展示について
[参加作家リスト (五十音順) ]
・安里 槙 | Shin ASATO 美術家
・大山 龍 | Ryu OYAMA
・丹治 莉恵 | Rie TANJI 彫刻家
・中里 和人 | Katsuhito NAKAZATO 写真家
・中島 隆太 | Ryuta NAKAJIMA
・スプリー ティトゥス | Titus SPREE
関連企画
◇特別企画:ダイアログルーム 1/26〜2/24
対話(ダイアログ)を通して来場者と地域をゆるくつなげるスペース。琉球大学美術教育の学生が 宜野座村漢那を歩いて見つけた地域の特徴を写真などで展示する。
協力アーティスト:能勢 孝二郎(Kojiro NOSE)彫刻家。沖縄県在住。
◇比嘉座によるうちなーぐちワークショップ 2/2 15:00〜
比嘉座は座長 比嘉 陽花(Haruka HIGA)をはじめ同世代の役者で構成される劇団で、しまくとぅば/沖縄方言/琉球語を使った芝居を創作している。
◇ライブパフォーマンス 2/23 18:00〜
ドイツの前衛的なロックバンド「Guru Guru」のリーダーで、 伝説のドラマー マニ・ノイマイヤー (Mani Neumeier)による漢那ドライブインにインスパイアされたパーカッションの生演奏。